平成24年度『笑十の会』の行政視察報告
聖パウロ学園高等学校
東京都八王子市にある「聖パウロ学園高等学校」並びに埼玉県北葛飾郡庄和町にある「首都圏外郭放水路」の視察を行いました。
聖パウロ学園高等学校では、エンカレッジコース(通信制課程)教育活動の視察です。 学園では、土屋弥生副校長先生に学校の説明をしていただきました。 エンカレッジコースは、設置から7年、通信制課程の単位制で、小学校・中学校・高等学校のいずれかの時期に不登校経験のある生徒や、他の全日制の高等学校になじめずに転入・編入をする生徒並びに、発達障害(知的障害を持つ生徒は省く)などの傾向のみられる生徒などの受け入れを行っています。現在、立ちどまってしまって生徒たちが再出発をするための学校でした。 通信制課程・単位制を利用する事の意味としては、心身の状態に合わせて学べる事や、教師や保護者が「待つ」事ができる時間の確保、単位を自分の状態や希望に合わせ、自らの意志で選択できる事などマイナスを補うのではなく、プラスを作る学びに自己の能力を高め自立する事ができるとの事でした。 また、エンカレッジコースを通して見えてくることとして、子どもたちを見る見方の誤りがありる事に気付いた。たとえば「集団になじめない可哀そうな人たち」「可哀そうな子どもたちを私たちが助けたい」「問題を抱える子どもたちに良い事をしたやりたい」などのありがちな思いが先行してしまい、そういう思いだけでは子どもたちが心を開いてくれないとの事にきずかされた。 本当のケアは、「子どもを良く見て感じ取ること」「子どもが活動し成長をするために必要な事を考える事」「環境を整えて待つこと」を繰り返し、子ども自身がここで何ができるという実感と、もっと成長したい、もっとできるようになりたいと思うようになるまで時間をかけ「待つ」事が、成長できる子どもを育成ができるとの事でした。 この教育である程度で状態が改善してきた段階で、ほとんどのこども達が全日制課程に近いかたちで登校が可能になるとの事でした。 私も教育という希望が子どもたちの困難な社会の状況の中の一筋の輝きとなる事を望みたいものです。
首都圏外郭放水路
続いて、彩龍の川「首都圏外郭放水路」の視察行いました。 群馬県・茨城県・埼玉県・千葉県・東京都に囲まれた中川・綾瀬川流域は、かつて利根川、荒川が洪水のため流路を変え、水がたまりやすい皿のような地形になり、河川勾配がゆるやかで水が流れずらく洪水の発生しやすい地域でした。 地形が低い事から過去の時代から多くの水田が作られ、一時的なダムの役割を果たしていたが、近年急激な都市化で水田も激減し洪水被害が頻繁に起こるようになり、首都圏外郭放水路が計画されたとの事でした。 目的としては、溢れそうになった中小河川の洪水を地下に取り込み、地下50mを貫く総延長6.3㎞のトンネルを通して江戸川に流す、世界最大の洪水防止施設との事です。 平成14年度通水開始から、これまで69回の稼働実践があり、過去最大流入量を記録した集中豪雨では、小学校にあるプール25,000杯分の1,200万㎥を排水し、洪水を抑制したとお聞きしました。 想定外と言う言葉が一人歩きをした昨今でしたが、市民の安全・安心を守る施設はこれからも整備を行って頂きたいものですね。最後に、今回視察を受け入れ、学校教育に情熱を尽くされる 聖パウロ学園高等学校 土屋弥生副校長先生、また、丁寧なご説明を頂いた国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所の皆様に感謝申し上げ、平成24年度『笑十の会』の行政視察報告とさせていただきます。
塚本利政