1 市長の政治姿勢について
(1)人口減少対策について
人口減少抑制と交流人口拡大に向け、ソフトとハードの両面において、今後どのようなことに力点を置いて市政運営を展開していかれるのか、市長の見解を伺う。
小出市長 私は、
第一次実行計画において3つの重点施策を掲げ、まちづくりの原動力である「ひと」の活躍を支える施策を強化しながら、基本構想で掲げた都市像の実現に強い決意を持って取り組んでまいりました。
その結果、市民の皆様のご協力や多様な主体との連携により、安心・安全なまちづくりや子育て支援、地域経済の振興など、様々な分野で目に見える成果が現れてきたものと受け止めております。
一方、直近の人口動向においては、減少傾向は鈍化しているものの、総合計画に掲げる27万人の人口維持に向け、さらなる取組が必要なものと強く認識したところであります。
このことから、今年8月に、今後の行政経営の方針として定めた「変革方針2018」においては、3つの重点施策をより強固なものとするとともに、人口減少対策の強化に向けた施策間連携に積極的に取り組むことといたしました。
この具体的な方向性としましては、ソフト面では、特に、若い女性や子育て世代などをメインターゲットに据え、本市のポテンシャルを最大限に活かしながら、本市を選んでいただき、暮らすことの動機づけとなる移住・定住施策を多角的に展開してまいります。
また、ラグビーワールドカップ2019や東京オリンピック・パラリンピックなど連続する国際的なスポーツ大会を好機と捉え、市民の誇りの創生や交流人口の拡大など、未来に向けたレガシー創出を目指してまいります。
さらに、国の天然記念物に指定された田淵の地磁気逆転地層については、本市が国内外に誇るべき資源であり、これを最大限に活用できるよう、スピード感をもって取り組んでまいります。
私は、連続する国際的なスポーツ大会や天然記念物に指定された地磁気逆転地層など、魅力ある地域資源を最大限に活かした取組を全庁一丸となって進めると同時に、本市の優れた施策を市内外に効果的に発信する戦略的なシティプロモーションを強化していくことで、市民の「誇りの創生」を図るとともに、市内外の人に本市への関心を高めていただくことで、移住・定住を促進してまいります。
また、ハード面では、都市計画マスタープランや立地適正化計画に基づき、暮らしやすく、魅力あふれる持続可能なまちの創出に向け、将来の土地利用のあり方や機能性に富んだ都市を目指す都市拠点形成に力を注ぐことで、若者世代をはじめ、多くの人が住みたいと思う市原の創生に全力で取り組んでまいります。
私は、変革と創造の理念のもと、これらの施策を重層的に展開することで、市原のさらなる価値と魅力を創出しながら、都市像「夢つなぎ ひときらめく 未来創造都市 いちはら」の実現に積極果敢に挑戦してまいります。
1 市長の政治姿勢について
(2)地域資源をいかしたまちづくりについて
①スポーツ施設の活用について
本市においては、世界で活躍するサンウルブズの新たな拠点となった市原スポレクパークがあり、今後、スポーツ振興に加え、交流人口の拡大や地域活性化が期待される。そこで、岩手県紫波町の事例のように、今回のサンウルブズの練習拠点化を契機に、更なるスポーツ振興施策にどのように取り組んでいくのか、伺いたい。
スポーツ国際交流部長 市原スポレクパークは、ラグビーの国際大会に参戦している日本のチーム「サンウルブズ」の2019年シーズンの練習拠点に決定し、去る10月2日、本市とサンウルブズとの間で、相互の連携・支援協力に関する協定を締結いたしました。
先月27日、サンウルブズの来シーズンに向けたチーム体制の発表があり、所属選手といたしまして、日本代表でもキャプテンを務める、リーチ・マイケル選手をはじめ、日本ラグビー界を代表する、そうそうたるメンバーが揃いました。
2019年はワールドカップイヤーであり、日本代表チームと一体となって活動するサンウルブズの動向は、国内外から大きな注目を集めるものと思われます。
市といたしましては、まずは、練習環境をしっかりと整え、サンウルブズが世界の舞台で存分に戦えるよう、支援してまいりたいと考えております。
サンウルブズの練習の様子は、広く市民の皆さまにも公開をしていく予定であり、さらに練習以外にも、本市のスポーツ振興や市民との交流行事などに協力をいただくこととなっております。
現在、これらの具体的な内容について、チーム側と調整を進めているところであり、スポーツを通じたまちづくりを進める重要なパートナーとして、連携してまいりたいと考えております。
また、今後の取り組みでございますが、議員からご紹介のありました、岩手県紫波町(しわちょう)の「オガールプロジェクト」では、バレーボール専用体育館をはじめ、宿泊施設や商業施設などを併設して集客につなげている点が評価されており、本市にとりましても、大変参考となる事例であると受け止めております。
市原スポレクパークは、天然芝グラウンドを中心とした施設のポテンシャルの高さが高く評価され、これまでもサッカーやラグビーの日本代表クラスの強化の場として使用されておりますが、宿泊や飲食などのサービス面では、周辺の民間施設をご利用いただいているところであります。
このたび、サンウルブズの練習拠点となったことで、今後、スポーツ合宿等のさらなる増加が考えられますので、スポーツ施設としての価値が、さらに高められるような方策につきまして、先進事例等を参考に、研究してまいりたいと考えております。
本市は、ゼットエーボールパークやゼットエー武道場など、優れたスポーツ施設を有している。また、ゼットエーオリプリスタジアムについても電光表示板の改修により、スポーツ施設としての魅力がさらに高まるものと考える。そこで、これらのスポーツ施設を活用した交流の拡大や本市の魅力発信が有効と考えるが、見解を伺いたい。
スポーツ国際交流部長 「市原市スポーツ推進計画」では、「交流と連携によるスポーツの推進」を基本方針の一つに掲げ、スポーツをまちづくりのツールの一つと捉え、スポーツ合宿の誘致等に取り組むこととしております。
本市には、市原スポレクパークやゼットエーオリプリスタジアムなど、サッカーやラグビーのできるコートが、天然芝と人工芝を合わせて10面以上あり、これまで、各種の全国大会や日本代表クラスの合宿等を受け入れてまいりました。
このうち、市原スポレクパークでは、整備を進めておりました第二レストハウスがこのほど完成し、より幅広い利用が可能となりました。
また、ゼットエーオリプリスタジアムでは、今回、補正予算案に計上させていただいた、電光表示板の機能向上を図ることで、さらに、大規模大会等の利用促進を図ってまいります。
さらに、すでに県内外から高い評価を得ておりますゼットエー武道場では、空調設備を設置することにより、夏季における利便性が向上し、より多くの大会や合宿の誘致が図れるものと考えております。
現在、市では、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせた、事前キャンプの誘致に取り組んでいるところであり、この過程において、本市のスポーツ施設のポテンシャルの高さを市内外に広く発信し、本市の知名度向上やイメージアップに繋げるとともに、スポーツを通じた交流人口の拡大を図ってまいります。
特に八幡宿駅周辺は、消防学校の設置に加え、スポレクパークをスポーツの拠点とすれば、今後のまちづくりに大きな影響を与えるものであり、現在、策定を進めている拠点形成構想においても、十分配慮すべきと考えるが、見解を伺います。
企画部長 総合計画では、施策効果を高める3つの柱の一つとして、都市創生戦略を掲げ、多極ネットワーク型コンパクトシティの形成を目指すこととしております。
これを受けまして、JR 3駅周辺の各拠点につきましては、立地適正化計画により、都市機能の適正配置と居住誘導を位置付けるとともに、定住人口の増加と、魅力あるまちづくりを目指し、駅周辺の徒歩圏を対象に、「拠点形成構想」として、現在、その策定に取り組んでいるところであります。
策定にあたりましては、拠点形成の実現性を高めるため、現状分析をはじめ、市場動向や民間事業者の意向調査なども行うとともに、整備主体となる事業者の、参入を促す手法等についても検討しております。
なお、都市拠点として位置づけました,八幡宿駅周辺につきましては、サンウルブズの練習拠点となるスポレクパークをはじめ、消防学校の開校も控え、土地利用としても、非常に高いポテンシャルを持った区域でございます。
今後は、こうした立地特性を十分生かすとともに、移住・定住の促進と、これらを呼び込むための、まちづくりのあり方につきまして、地域・民間事業者・県等とも、十分共有した中で取り組んでまいります。
特に、県有地につきましては、議員ご提言の視点を踏まえ、地域の活性化及び魅力あるまちづくりに資する活用となるよう、関係部門に働きかけてまいります。
②養老川流域田淵の地磁気逆転地層について
指定された地域の保存保護はもちろん、この貴重な地域資源をいかに活用していくかが肝要です。そこで、具体的に今後どのように取り組まれるのか伺います。
生涯学習部長 本市は、国の天然記念物指定を機に、文化財保護法の規定に基づく適正な管理を行うとともに、地層の文化財としての価値の理解を深め、郷土の誇りの創生につなげていくことはもちろん、積極的に指定エリア全体を地域資源として活用してまいります。
具体的には、次の3点を考えております。
まず1点目といたしましては、この地層は天然記念物として保存・保護の対象となると同時に、研究対象として極めて価値の高いものであることから、研究試料として活用してまいります。
2点目といたしましては、小中学生等へ「地球の歴史や大地の成り立ち」を知る学習教材として活用することで、興味・関心を高めるとともに、郷土いちはらへの誇りと愛着を醸成してまいります。
3点目といたしましては、国内はもとより、世界的にも希少な地層等を観光資源として活用するための環境整備を、関係部局と連携して取り組んでまいります。
未来に向けて適切な保存はもとより、地域の活性化に資するため、地元町会をはじめとする市民とも連携を図りながら、市を挙げて、貴重な地域資源の活用に取り組んでいくことが重要だと考えます。そこでまず、見学環境の整備等必要となる事業に対し、補助金獲得など、国や県と関わりながら、どのように取り組まれるのか、見解をお伺いいたします。
副教育長 見学環境の整備など地層の保存保護・活用に関するさまざまな施策等に対して国庫補助を受けるためには、文化財の保存活用計画、及び整備計画の策定が基本となります。
このことから、まずは国・県からの協力を得ながら、保存活用計画の早期策定に取り組んでいるところです。
また現在、当該地周辺の円滑な保存・保護・活用を行うために民有地の公有地化に向けて、作業を進めております。
これらの計画策定や公有地化、そして環境整備等の実施につきましては、相当額の負担を伴うことから、国・県からの特定財源の獲得につながるよう、市の取組状況について国・県に対し十分伝えていくとともに、必要な情報の収集に努めてまいります。
③低・未利用資産の有効活用について
現在サウンディング型市場調査を実施中の施設に加え、再配置が推進されていく中で、廃止となる公共施設も生じると思われますが、いずれも本市にとって大切な財産であり、速やかに活用につなげまちづくりに生かしていただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。
資産経営部長 現状で低・未利用の資産や、再配置の取組により生じる余剰資産については、市の貴重な財産であることから、売却や貸付等により、速やかに利活用を図ることが必要であります。
そこで、市では、低・未利用の公共資産の売却・貸付を推進するなど「新たな価値の創出」を推進するため、本年3月、「市原市公共資産活用基本方針」を策定いたしました。
この基本方針では、概ね3年以内に用途廃止を予定する公共資産については、用途廃止予定資産として位置づけ、その後の売却又は貸付け等の活用可能性について早期に検討を始め、速やかな活用につなげていくこととしたところです。
さらに、その活用計画の策定にあたっては、当該資産の立地等の状況によっては、新たなまちづくりを実現するための貴重な資源となり得ることから、サウンディング型市場調査や事業提案型の公募を導入するなどして、総合的な視点から検討することとしております。
このことから、今後は、基本方針に基づき、資産情報を適切に管理しながら、まちづくりの観点にも十分配慮し、資産の早期活用に取り組んでまいります。
市南部の廃校の中には、耐震が確保されていない建物がある学校が3校あるが、耐震対策のコストに見合うような地域の活性化に繋がる効果的な提案があれば、市で耐震化等を実施することも考えられるのではないかと思いますが、見解をお聞かせください。
資産経営部長 本年3月に策定した「市原市公共資産活用基本方針」においては、廃止した公共資産の活用は、現況引き渡しを基本としております。
その際、耐震補強等の対応が必要な施設は、原則として、活用の事業主体が対応することとしたところです。
しかしながら、廃校は規模が大きく、更に老朽化しているなど、民間事業者が活用する上で、課題が数多く存在しております。
このため、今回のサウンディング型市場調査では、具体の活用提案に加え、耐震補強等の対応が必要な施設について、課題解決に向けた民間事業者の提案を聴取し、柔軟に活用の可能性を探ってまいりたいと考えております。
市といたしましては、耐震化の図られていない廃校については、民間事業者との対話結果を基に、地域の皆様のご意見も伺いながら、地域振興、交流促進、観光などの視点から提案内容を検証し、今後の活用の在り方を検討してまいります。
(3)災害に強いまちづくりについて
第1庁舎に設置されているカヤバシステムマシナリー社製の免震オイルダンパーに性能検査の記録データ改ざんの可能性があることが判明した。防災拠点としての安全性について、市民が安心できるような、今後の対応などについて説明が必要と考えるが、見解をお聞かせください。
総務部長 第1庁舎は、防災拠点として、高水準な耐震性を確保するために、免震構造を採用いたしました。
今回導入した免震構造では、建物の地上部の躯体と、地面に直接つながる基礎との間に、地震の揺れを吸収する積層ゴム支承(ししょう)23基、弾性すべり支承(ししょう)4基、オイルダンパー4基で構成される免震装置を設置し、揺れにくい建物とすることで、地震に対する建物の安全性を確保しております。
問題となっているオイルダンパーは、この免震装置の一部であり、建物の揺れを止めるブレーキの役割を補助的に担っているものでございます。
第1庁舎のオイルダンパーにつきましては、検査データの改ざんがありましたカヤバシステムマシナリー株式会社による製品であり、「国土交通大臣の認定基準に不適合であるかどうかは不明」との扱いで、国土交通省を通じて報告を受けております。
市といたしましては、同メーカーの検査データ改ざんが判明した後、直ちに第1庁舎の施工業者でございます大成建設株式会社に対しまして、早急に事実確認を行い、適切に対応するよう指示してまいりました。
現在のところ、同メーカーは、大臣認定の内容に不適合な製品については、疑いのあるものも含め、本市はこれに該当しますが、すべて、大臣認定に適合する製品に交換する方針を示しております。
また、不適合製品を設置した建物の地震に対する安全性につきましては、国土交通省から、第三者機関の見解といたしまして、震度6強から7程度の地震に対して、建物が倒壊するおそれはないと報道発表されていますことから、直ちに第1庁舎を利用する市民の皆様や職員に危険がおよぶ恐れはないものと考えております。
オイルダンパーの交換時期については未定でございますが、市民の皆様の安心・安全を第一に考え、施工業者と協議し、一刻も早い対応を図るとともに、的確な情報の把握と公表を行ってまいります。
第2庁舎の「将来的な整備方針」について、取組の進捗状況と見通しをお聞かせください。
総務部長 「将来的な整備方針」につきましては、現在、庁舎が抱える躯体及び設備類の老朽化並びに耐震性能の不足等の課題整理とともに、市民対話の実施に向け、準備を進めております。
本年8月には、今年度から2か年の技術的支援を受けるため、株式会社千都建築設計事務所と委託契約を締結し、同月から具体的な調査、検討を開始しております。
今後でございますが、今年度中に課題の整理を取りまとめ、2019年に市民の皆様との対話を行いながら具体的な検討を進め、2020年3月末を目途に将来の方向性を決定してまいります。
また、将来的な整備までの期間、現庁舎を使用継続するために必要となる改修等につきましても整理し、極力、将来的な整備との二重投資にならないよう見極め、安全性と機能確保を図ってまいります。
(4)中核市について
中核市について調査し、検討する余地があると考えているが、市の予算書には「中核的都市のあり方研究事業費」とある。これはどのような取組なのか、その内容と目指すべき方向について伺います。
企画部長 総合計画では、目指すべき将来都市像実現のため、本市周辺の市町村を含めた190万人圏域を都市圏とし、市域を超えた連携を戦略の柱として位置づけております。
この中核的都市のあり方研究事業は、本市が、5市3町に接する立地性を活かし、圏域全体の連携を結ぶ中核的な役割を果たすことにより、周辺自治体との様々な連携効果が期待できる施策・分野の可能性を検討し、人口減少などにより生じる諸課題の解決を目指す事業でございます。
これまで、本市は、千葉市・四街道市と連係した子育て支援・経済振興や、君津市・大多喜町と連係した観光振興など、地方創生の取組を中心に、広域連携事業に取り組んでまいりました。
今後も、これらの成果を踏まえ、それぞれの自治体が持つ強みをより活かす手法や相互補完の可能性をさらに分析し、圏域全体のさらなる活性化を図る施策展開につなげてまいりたいと考えております。